技術部 部長 藤木 直人
津南らしいユリを求めています。
毎年、6月下旬頃に試験品種の球根を植え付けます。
今年は309品種を技術部全員6名で作業しました。
ひとつの品種を4球づつ植えます。
理想は、夏場の産地だから、
夏に花が作れるか作れないか。
暑さに耐えられるかどうか、
つぼみはきちんと膨らむか、
背丈が取れるかなどです。
津南のユリは、程よく太くてボリュームたっぷりなイメージの花を求めています。
これだけ植えても、実際に出荷品目にしようと思う品種が2~3あれば良い方です。
ひとつも条件に見合った良い品種がないこともあります。
この試験圃場は自分たち組合だけのものではないんです。
球根会社の試作圃場も兼ねていて、
全国のユリ生産者がこの圃場を見て参考にします。
作ることによって情報を与えることもできるし、供給することもできる。
労力がかかって利益はない試験圃場ですが、
日本のユリのためだと思って、一生懸命やっています。
日本で唯一『国産』の表示をしています。
私たちの出荷箱には国産と表示しています。全てではありませんが。
国産表示があるものは、日本で養成した球根を使っているからです。
通常、オランダから輸入した球根を植えて出荷するので、
一年で出荷できるようになります。
国産ユリは、オランダから小さい球根を輸入して、
その球根を一年かけて大きな球根に育てます。最低出荷までに二年かかります。
露地畑で養成するので、毎年自然との戦いです。
養成するには、通常より一年余計にかかるだけではありません。
球根にストレスを与えないように、花を咲かせません。つぼみになったら、
全て手で落としていきます。
球根の掘り起こしも丁寧に手作業で行います。
結構ロスも出てしまうんですよ。
そうこうして汗を流しながら、
私たちの土地に合ったユリ(球根)をまるまる一年かけて作り上げます。
養成した球根を使っているものだけを、『国産』として出荷しています。
『国産』のユリは、日本では津南だけ。
時間も手間もかかって大変ですが、誇りを持って作っています。
誰よりも良いものを作りたい。それが全てです。
ユリをはじめて10年。
毎年、色々試して来ましたが答えなんてないですね。
「ああ、これでいいのかな」という感覚になる確率が、
経験を重ねるごとに確率が増えていって確実に近づく。
そんな感じです。
時間をかけ、手をかけ、ユリを育てる
自分のユリを作る。
どうしてそこまで手をかけるのかと言われることがあります。
でもそれは、
誰よりもいいものを作りたい。
それが全てです。
私たちの作ったユリを期待してくれている人がいる。
私たちは、そういう周りの人々に支えられているんです。
これからも緊張感を持って作り続けていきます。